ヒルドイドのジェネリックの保湿力は本家本元にはかなわなかった??
先日、『ヒルドイド』について、興味深い記事を見つけたので、ご紹介いたします。
『ヒルドイド』、と言えば、知らない人はいないくらい、有名。
本来はアトピー性皮膚炎やにきびの塗り薬治療中の保湿、傷跡などに保険で使用されるものですが、
『⚠美容目的での保険処方が日本の医療費をひっ迫している⚠』
ことが一時話題になりましたよね。
🤓2018.2.22の矢沢のブログ『話題のヒルドイド、美容医療医師の立場からの提言』も参照してください🤓
さて、そのヒルドイド、後発品、ジェネリック、が続々登場しています。
今回、その後発品が、先発品のヒルドイドほどの保湿効果がなかった😱という文献です。
後発品は主成分は同じですが、基材は自由に変更できるため、薬の効果が変わる可能性があります。
しかも、ヒトを対象とした試験が必要ないとのこと。
日本では、ジェネリック外用剤の同等性評価基準が甘いようです。
先発品では3段階の評価が必要とされていたものが、後発品の開発時には最低1種類の試験で同等な結果が得られればよい、のだそうです🙄
ヒルドイドは基礎発汗を誘導することによって各層水分量が増加し保湿作用をもたらすそうですが、
後発品は基礎発汗を誘導せず、同等の保湿効果はなかった
とのことです。
動物実験では同等の効果があったそうですが、その動物とヒトとでは皮膚の構造がかなり違います。
例えば、ヒトはエクリン汗腺があるのに対し、実験動物ではあまり発達していません。
そのため、動物実験の段階では同等の効果があったそうですが、ヒルドイドはヒトの場合基礎発汗が誘導されるため、さらに保湿効果が高くなった、と考えられるそうです。
いくら主成分が同じでも、他の成分や、作り方が違えば、同じ効果にはならないのです😤
医療費削減のためには、後発品をなるべく推奨したいところですが、効果は必ずしも同じとは限らない、ということは、以前から薄々感じておりましたが、今回改めて実証され、非常に興味深かったです。これはヒルドイドに限った話ではないと思いますが・・・
私自身、先発品も後発品もどちらも処方経験があります。
患者さんから後発品の効果が特に劣るとの指摘を受けたことはありません。
現在はどちらもスプレーやムースなどいろいろなタイプがあり、形状によっても保湿効果は異なると思いますので、そこはそれほど気にしていませんでした。
保湿効果だけでなく、使用感というのも、継続使用においては重要ですからね😘
私自身は、上記の保険処方以外で、あえてヒルドイドをオススメすることはありません。
化粧品として使うのであれば、美容成分を配合したもののほうがよいと思うからです。
保湿という観点だけでいうと優れているかと思います。
保湿はスキンケアの基本中の基本ですから。
しかし、さらなる効果を求めるのであれば、ヒルドイドに頼る必要はありません。
どうしてもヒルドイドにこだわる方は自費での処方であれば問題ないかと思っています。
出典:
日本皮膚科学会雑誌:129(10)、2165-2172、2019
青山裕美:基礎発汗誘導能に着目したヘパリン類似物質含有保湿クリーム先発品と後発品の生物学的同等性評価