美容小説「Language of flowers」8 最終話
Language of flowers
『肌がきれいだったら、人生は変わっていただろうか?』
美容皮膚科に出会うことで、変わっていく紗菜の物語。
episode8.「努力した人にだけもらえるご褒美」
ーでも紗菜さんのイメージは、ひまわりよりこっち。
仕事が休みの火曜か水曜は、どちらかジュンさんがいるお花屋さんに行くのが
習慣になっていた。この日も美容皮膚科に行ってから、ここに寄った。
ジュンさんは本当にセンスがよく、毎回かわいらしいブーケを作ってくれ、
それを持ち帰るのが最近の一番の楽しみになっていた。
「紗菜さん、最初に会った時よりきれいになりましたよね。」
「え?」
「急にすみません。変な意味はなくて、ただ雰囲気が明るくなったなぁって。」
美容皮膚科に通い始めてから肌の調子が整い、きれいになっていくと
確かに気持ちも前向きになっていくのを自分でも感じていた。
「ありがとうございます。照れます・・・。あの、ひまわりってもう終わりですか?」
「ひまわりですか?花屋って本来の季節より前倒しで店頭に並べるので、
もう8月だと置いてないんです。好きでした?たしか前々回、買ってくれましたよね。」
「はい。元気が出るしがんばろうって気持ちになるから、好きです。」
「じゃあ質問!ひまわりの花言葉はなんでしょう。」
「花言葉、結構覚えたんですが・・・あー、悔しい、わからないです。」
「あはは、結構有名なんだけどな。『私はあなただけを見つめる』ですよ。
太陽の方を向いているでしょ?けなげでかわいくて僕も大好きなんです。」
ー大好き
自分に言われたわけじゃないのになぜか、胸が波打つ。
「そういえば、最近Bar timeに30半ばくらいの男性が一人で来て
必ず重ための赤ワイン飲んでいくんだけど、一昨日紗菜さんの写真見せてきてね。
この子よく来るでしょ?いつ来たら会える?って聞いてきたんだけど。」
ーきっと佑樹だ。SNSにここの写真を上げたからだろうか。
「その人、たぶんわたしがよく知ってる人だと思います・・・。」
あのまま、わたしを振ったまま消えてくれたらよかったのに。もう心は揺れなかった。
「僕、教えませんでしたよ。毎週火曜か水曜に来ること。
っていうか教えたくなかったから。」
ーえ?
「でも僕の紗菜さんのイメージは、ひまわりよりこっち。」
そう言ってダリアの白色のきれいなものを何本か包む姿から目を離せずにいた。
「ダリアの花言葉は知ってます。『感謝』でしょ?」
「正解。でも、もういっこありますよ。『豊かな愛情』
紗菜さんは、豊かな愛情をもっともらうのに値する女性ですよ。」
そういって赤らめた顔に、完全に心が奪われてしまった。
「値するだなんて、よくそんな日本語知ってますね。笑」
ー努力した人にだけもらえるご褒美。
その時、わたしはリエコ先生に言われた言葉を思い出す。
白いダリアはとても美しく、凛としていて華やかで顔を近づけると、さわやかないい香りがした。
ーfin