美容小説「Language of flowers」6
Language of flowers
『肌がきれいだったら、人生は変わっていただろうか?』
美容皮膚科に出会うことで、変わっていく紗菜の物語。
episode6.「はじめての美容皮膚科」
ー憧れの先輩と話すような、あの感じに似ていた。
「こんにちは、12時に予約していた長谷川です。」
美容皮膚科に行くのは生まれて初めてですごく緊張していた。
ただ想像していた派手な化粧で怖そうなお姉さんたちはおらず、
優しそうな笑顔のスタッフさんたちに胸を撫で下ろす。
平日だからか、他の患者さんとあまり重ならないような予約の取り方をしているのか、
人気のクリニックのはずだが待合室には、私一人だった。
だからなのか、ゆっくりじっくり悩みを書くことができた。
しばらくして、診察室に案内される。
「こんにちは。院長のリエコです。」
雑誌やテレビで見かけたことのある綺麗な女医さんに
ほぐれていた緊張の糸ががまたピンと張ってしまう。
だけどそれは嫌な緊張ではなく、学生時代、憧れのかっこいい女の先輩と話す時のような、
なんとも言えないあの感じに似ていた。
「….そうだったのね。勇気を出してうちに来てくれてありがとう。」
そう言って笑いかけてくれたリエコ先生の顔を見たら目頭が熱くなる。
気づけば肌の悩みだけでなく、恋愛相談までしてしまっていたのだ。
「コースにするとお得ですので、
もし今日やってみてよかったら次回検討なさってもいいかもしれませんね。」
担当の看護師さんはわたしと同い年くらいだろうか。
透明感のある肌はメイクで作り込んだわけではなく、きちんと手をかけている感がして、
つい見とれてしまう。
初日の今日はケミカルピーリング、フォトフェイシャル、
イオン導入と最後にパックをするという。
丁寧に説明してもらったが、名前を聞いただけではまだピンとこない。
イオン導入の途中からうとうとしてしまうほど気持ちがよく
初めての美容皮膚科は、とにかく最高に良かった。
「努力した人にだけもらえるご褒美って必ずあるのよ。」
最後にリエコ先生はそう言ってくれた。
そのご褒美が、近い将来あることをこの時わたしはまだ知らなかった。
to be continued…