2015年05月27日(水) テーマ:美容皮膚科アオハルクリニック治療
十味敗毒湯 (桜皮配合)〜 女性のアダルトニキビ〜
先週の木曜日、漢方セミナーに参加しました
いま、本邦で保険診療使用できる漢方製薬会社さんは、
ツムラさん(シェア8割)
クラシエさん(シェア1割)
オースギさん、コタローさん、などです。
今回は、クラシエさん主催のセミナーでした。
漢方の講座がある大学医学部はほとんどありません。しかし、実際の診療では漢方で治したいという患者さんは結構多い。
なので、医者になってから自分で勉強しています。
今日は女性のアダルトニキビに効果が高い
桜皮 配合の 十味敗毒湯
についてブログします。
江戸時代に華岡青洲先生が毒素を排出させるために作ったのが始まり。
その際、排膿効果の高い山桜の樹皮(桜皮)を配合。この時のネーミングは、十味敗毒「散」。
その後、浅田宗伯先生が、華岡処方の山桜のかわりにクヌギの樹皮を使って十味敗毒「湯」を作ります。
この流れから現在は、華岡青洲処方(クラシエさん)と浅田宗伯処方(ツムラさん)の2種類の十味敗毒湯があります。
適応疾患はともに、化膿性皮膚疾患です。ざ瘡、アトピー性皮膚炎、酒さ、脂漏性皮膚炎など。
このうちざ瘡(ニキビ)に話をしぼりますと、「桜皮配合」の十味敗毒は女性のアダルトニキビに有効性が高いと考えられています。
といいますのも、、、
ニキビの成因の一つに「テストステロン(男性ホルモン)による皮脂分泌亢進」があります(女性にもしっかり分泌があるの)。
そのテストステロンに拮抗して皮脂分泌を抑制するのがエストロゲン(女性ホルモン)。
で、桜皮には、皮膚のエストロゲン産生作用があると推定されており、荊芥や甘草などのアクネ菌(ニキビ菌)への抗菌作用とともに、女性のニキビに効くと考えられている、というわけなのです。
漢方は患者さんの「証(しょう)」に合ったものを選ぶのが難しいのですが、十味敗毒湯の良いところは、胃腸虚弱が強い方でなければ、あまり証を選ばず使えるということです。
漢方にご関心を持たれた方も、ぜひご相談くださいませ