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第71回読書ブログ『落日燃ゆ』城山三郎

終日雨☂️の日曜でした

靖国神社の桜も、もう最後

今年は終戦80年です

そこで今回手に取ったのは

『落日燃ゆ』城山三郎

対米開戦に反対し、戦争阻止に努めたのに、

戦後の「東京裁判」でA級戦犯として起訴され、文官で唯一絞首刑に処された元首相・広田弘毅を描いた小説です

 

福岡のわたくしの母校「筑紫女学園」から歩いて10分くらいのところに護国神社があり、そこから福岡城址の途中に「廣田弘毅像」が立っているの

でも

福岡には廣田姓の人もいるので、な〜んとなく身近

くらいにしか思ってなかった

 

今回この小説を読んではじめて、その高潔な人物像に触れました

あくまでも小説なので、最大限に美化されて描かれているのかもしれませんが、

質素で和而不同

自分を滅して国のために働き続けた人

アメリカの検察官ですら「ヒロタの死刑はないだろ!」と憤ったという不当判決。しかし従容として刑に服した

A級戦犯となった方の中には、広田さんを売って刑を逃れた人もいたらしい。でも広田さんはいっさい騒がなかった

 

日中戦争と第二次世界大戦のことが細かく書き込まれた長編小説で、ずっしり重く読み応えがありました

巻末に参考資料リストがたくさん付いています

じつは数年前に市ヶ谷の防衛省の記念館で、東京裁判の法廷を見学したことがあったの

だもので、裁判のシーンはとくにリアルに迫ってくるものがありました

 

小説を読み終わって、、、

 

靖国神社にお参りに行きました。

そして、境内の博物館「遊就館」に行きました

常設展では、幕末から第二次世界大戦終戦までの歴史が展示されています

江戸末期にアメリカに開国させられてから、アメリカに焦土にされるまで、

米欧列強に植民地にされまいと奮闘してきた90年

 

特設展のほうは

戦後80年を記念した戦跡写真展

英霊の遺品、手紙、短歌をつぶさに拝見し、

ハンカチなしではいられませんでした

 

わたくし毎朝、出勤前にワールドニュースを観るのが日課なのですが、

世界のあちこちの戦争のニュースがない日はありません

しかも最近は、サイバー攻撃とか貿易戦争とか、昔ながらの武力行使とは違う形の脅威も高まっています

むかしは特攻で英霊が尊い命を散らしました。しかしいまは数万円のドローンで敵を攻撃できてしまう時代

 

一冊の小説をきっかけに、いろいろと考えた日曜日でした

 

そして福岡の偉人についてもう一冊

マンガ

『出光佐三』

福岡県・宗像市ご出身の大実業家

出光興産の創業者

『海賊と呼ばれた男』です

本当にゼロからスタートした人で、アイデアと人を大切にすることによって数々の逆境を乗り越えた

そして、戦後荒廃していた故郷の宗像大社を、密かに私財を投じて再建なさったの

でも〜

宗像大社には、出光からの寄贈を表す文字はひとつもありません。佐三さんの厳命なのだそうです

佐三さんの死後、宗像大社はUNESCO世界遺産に登録されました

おなじ日本人、おなじ福岡人として、誇りと勇気をいただけました😌

 

「戦争に反対」「わが国は武力戦争はしない」と言ってるだけでは、侵略されるリスクはなくならないのかもしれない

他国・他民族から

「かりに日本を侵略して占領しても、なんせあいつら日本人だからな〜一見おとなしいようで、怒らせると怖いし、けっしてわれわれの『奴隷』にはならないよな〜まあ対等な商売相手ってことにしといたほうが、こっちも得だな」

と一目も二目もおかれることが、いちばんの「防衛」なんじゃないか

 

終日雨でしたので、そんなことを考えておりました

 

大村益次郎像のもとで📷