2014年07月06日(日) テーマ:皮膚疾患
日本小児皮膚科学会 抗ヒスタミン薬
今日は、渋谷・セルリアンタワーでお勉強
日本小児皮膚科学会
写真左から
この学会の会長、高森建二先生
順天堂大学皮膚科学教室の名誉教授
私の大恩師!
東京臨界病院部長の阿部先生。
順天堂大学教授の須賀先生。
とってもお世話になった先生方
この学会は、言うなれば、
小児科と皮膚科のコラボ学会。
小児のアレルギー疾患や、白斑、母斑、遺伝性疾患など多くの講演を聴講。
中にはこんな身近なお話も
~抗ヒスタミン薬、第2世代~
抗ヒスタミン薬は、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹、アレルギー性鼻炎など、痒みや鼻水などに対し広く処方される薬。
そもそもヒスタミンとは、皮膚で痒みを起こす物質として疎まれがちですが、脳の中では、とっても大事な役割をする物質。
例えば、脳を覚醒させたり、記憶力・学習力を増強させたり、痙攣も抑制したりするんです。
だから抗ヒスタミン薬は、皮膚や鼻などの末梢で痒み止めとか鼻水やくしゃみ止めとかに働いても、あまり脳の中には行ってほしくないの。
抗ヒスタミン薬は、開発された順番で、第1世代と第2世代に分類されてます。
第1世代は市販の風邪薬や鼻炎薬に多い。
第2世代はアレグラやクラリチンなど。
要するに古い第1世代は、馴染み深い薬。なんだけど~、これがあっさり脳に移行しちゃう薬。(医学用語では、血液脳関門通過と言います)
その結果、飲むと眠気が出る。それで熟睡が得られればいいけど、そうじゃない。REM睡眠の質を落として、記憶・学習・認知能力低下を招いてしまうんです。つまり子供だと成績に響くということ。
さらに、眠気を感じずとも無自覚なまま記憶力や学習力、作業能力が落ちるの(インペアード・パフォーマンスといいます)。
飲んで車の運転には注意頂きたいです。
また鎮静性もあります。大人の場合、時に難治の蕁麻疹や掻痒症で第1世代が効果を発揮する方もいらっしゃいます。
ただし、眠気と効果は別物。
時々患者さんに「眠気が出るほうが、痒みにも効く強くていい薬なんでしょ!?」って聞かれますが、
治療には、非鎮静もしくは軽度鎮静性で、血液脳関門を通過しにくい第2世代の抗ヒスタミン薬が、まずは良いのです。
とくに子供には。
薬の研究開発はどんどん進んでいます。常に情報はアップデートしないと!
今日は、西山茂夫先生のご講演にも感激。
皮膚科医なら全員知ってるアトラスの著者。御とし84歳。先生のスライドには、なんと1962年に診察なさっていた症例の写真などもあって、スゴさを感じました