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日本医療安全学会 「人間の安全保障」と医療安全の未来を再考

週末、「日本医療安全学会」第10回学術総会に参加する機会がありました

テーマは「人間の安全保障から、医療安全の将来を、再考する」

え?

なに??

よくわからんまま行ってみたら、医療界のみならず、様々な分野から集まった言論人たちが活発な議論を展開していました❕

めちゃくちゃ面白かった、そして考えさせられたの

会場は東大

わたくしたち医療従事者は、患者さんに対して集中して全力で対応することが求められる

それはあたりまえ、なんだけど、

考えてみるとそのような医療環境が維持できるのは、

戦争、天災、大疫病などの大危機に直面していない「平和」状態であるからです。

つまり「人間の安全」が「保障されている」から、医療システムも十全に機能している。

おや?改めて考えてみると、

平和でない、つまり戦争・災害・疫病で「人間の安全」が「保障されない」状態に陥ってるときこそ、医療が超・必要なはずよね

われわれは近年、じつに多くの危機を経験しました。

コロナ禍では、ほとんどの病院や医院で診療がままならなくなったのは記憶に新しい

つまり、あたりまえだと思い込んできた「医療システム」は、実はいつ崩れてもおかしくない、非常に脆弱な状況にあるということが、あらわになりました

ご講演の先生の中には、1月の能登地震でも過去の大災害の教訓が生かされていない!と声を詰まらせる方も。。。

「人間の安全」が「保障されない」状態に陥るたびに、医療システムが不全になってしまう。

いつも、いつも、繰り返し、繰り返し、、、

・現場での「命の優先順位」の決定は

・避けられない「あきらめ」の判断と説得は

・救急救命期を乗り切ったはいいが、そのあと延々と続く慢性疾患治療の態勢は

…..これらがぜんぜん議論されていないことが指摘されていました。

災害大国日本なのに、

そして疫病はまた襲ってくるだろうに、

しかも戦争だってどうなるかわからんのに。

学会の二日間、医療の未来を考える上で、単に技術的な向上を目指すだけでなく、

どのようにしたら「いついかなる事態でも」「全ての人に」安全な医療を提供できるか?

という、より大きなビジョンの重要性が強調されていました。

そして、医療関係者が、小さく自分のことだけ考えずに、全体像を意識すべきだとも。

なかでも、鈴木寛先生(すずかん先生)のご講演では、

「医療関係者」と一言でいうけど、公私の病院にクリニックに薬局にメーカーに地方自治体にメディアに政府に、、、と、50個くらいの団体が絡んでて、

これらがそれぞれ自分だけの部分最適を目指してあるままでは、いつまでたっても「人間の安全が保障されないとき」の医療システムはできない

と力説。

医療安全についての学術的な俯瞰的議論。

私たち臨床医の日々の実践に、新たな視点を与えてくれます。

今後も、こういう大きな視点を忘れずに努力し続けたいと思いました。

学会総会長の渋谷健司先生と

東大本郷キャンパス

赤門の桜は見事でした

東大は、加賀・前田藩のお屋敷跡に作られたそうです。

石川と富山で、加賀120万石。

赤門も、能登の現状には、きっと心をいためているわね

災害・戦争・疫病に直面していない「平和」は、

けっして「あたりまえ」ではなく、

「有り・難い」もの。